2007年10月20日
優れた師匠に恵まれました。
私は優れた師匠に恵まれました。
口腔外科が専門でインプラントの研究をしていた私に、一般歯科を教えてくださったのは工藤忠男先生でした。総義歯は桜井唯次先生、噛み合せは川村泰雄先生に学びました。優れた師匠に学べたことで今の私がありますから、これらの先生には感謝が尽きません。
全ての技術をマスターできませんし学べませんので、優れた先生に出会い教えていただけたことは幸運でした。森嶋歯科医院ではその技術レベルを下げたくありませんので、レベルの低い勤務医は雇いません。レベルの低い勤務医に治療させることは、自分の歯科医院のレベルを低くすることになります。私自体が各師匠に学んだときは、口腔外科専門医として治療する以外、聴講生として見学させていただきました。
本を書くことを後輩に勧められましたが、師匠の技術の上に今の私がいますので、歯科医師として何ら誇ることがない私は、無償で教えてくださった諸先生のこと思いますと歯科医師関係の本を書く気持ちになれません。後輩には、各先生の本を薦めています。一生涯、向上一路。もし私が本を書くなら、人生の集大成、もう学ぶ気持ちがなくなって、歯科医師を引退するときだと思います。歯科医療世界の改善のために学会にて演題発表(症例報告)は10年間行ってきましたが、一般社会に営利目的で本を書くような恥ずべきことはできません。
2007年10月18日
インプラントの役割
多数の患者様から歯を残す努力をしないで、安易に歯を抜いてインプラントを勧めらた経験をお聞きします。インプラントの役割は、これ以上歯を抜かないための支えと考えていますから、非常に残念なことです。
歯を残すことが一番大切です。残念ながら歯を残せない場合、森嶋歯科医院では義歯にするか、インプラントにするか、ブリッジにするか、の選択を、その長所と短所をよく患者様に説明した上で、患者様に決めていただいています。
2007年10月16日
患者様に判断して頂いて
個人的事情で勤務医をしていた時、ある歯科医院の院長の安易に歯を抜いてインプラントを勧める診療姿勢に疑問を感じて、患者様の歯を守ることを勧めました。その15歳年下彼の返答は、「先生、そんな甘い考えで開業したら失敗しますよ。」でした。
人は、成功者の言い分にしか耳を傾けません。患者様の心を守るために歯を出来る限り残す診療の正しさは、実際に開業して患者様に判断して頂いて、成功して証明するしかないことを、彼に思い知らされました。
歯科医院が密集している東京での開業を危ぶまれましたが、今は多くの理解ある患者様に支持されて診療しております。
医療者は素人の患者様を軽視していますが、患者様は、「本物と偽者」を良くご存知です。
2007年10月15日
安らぎの歯科治療を目指して
診療において大切なことは、患者様の「心」と「肉体」をこれ以上傷つけないことだと思います。私の治療は、患者様を治しているんではなく、患者様の回復力の邪魔をしているものを取り除いているだけだと思います。
恥ずかしい話ですが、私自身は心を傷つけられ、そのトラウマによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ前、デンタル・トラウマ(治療行為に起因する歯科恐怖症)の患者様を心が弱い方だと思い励ましていました。自分自身のPTSDを治すために行動科学を学びカウンセラーの資格を得て、初めて「一方的に励ます」ことが、どんなに心の痛んだ方の負担になるのか解かりました。
一度傷つけられた心と肉体は、残念ながら完治しません。しかし、これ以上口の状態を悪くしない方向に、そして徐々に症状が和らぐような方向に何とか診療できないものかと常に考えています。日々努力し向上しながら、患者様の心の負担の一部を担って共に歩んで行ければ、と安らぎの歯科治療を一生涯目指しています。
2007年10月12日
恩師の教え
恩師の工藤忠男先生(享年47歳)が亡くなってから23年が過ぎました。
師は「歯科医師の使命とは、患者様が安らぐ診療を行うことだ。世間には森嶋さんからしか安らぎを得られない人がいるんだ」と、診療する後姿から私に多くのことを教えてくださいました。その学びによって不肖の弟子である今の自分があります。
師が私に託した「患者様が安らぐ診療」を少しでも行うために、とにかく歯を残し患者様の心を守る治療を心がけて23年が過ぎてきました。その師より長く生きて歯科医をさせていただいておりますが、とても「鬼手仏心」と今東光大僧正から称えられた師の境地の足元にも及びません。しかし師が地上を去り居られない今、不肖の弟子ですが、一人でも私に出会って歯科治療に安らぎを得られることを願って診療しています。
患者様それぞれが違うように、お一人お一人に安らぎの診療が存在します。明日も最善の治療ができればいいんですが・・・。