大田区 上池台 歯科 歯医者 森嶋歯科医院

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東京都大田区森嶋歯科のブログ

院長ブログの記事一覧

2007年10月28日
変革期

 遠方から高校生の患者様がいらっしゃいました。来院理由をお聞きしましたら『近所に歯医者は多いけれど、「得体の知れない歯医者」に怖くて行けません。』とのお答えでした。歯科医院の数も随分増えたために、営利目的のマーケッティング主体に歯科医院経営をして、集患率の高さを誇っている「得体の知れない」歯科医院もあるそうです。

 

現代は、産業社会の成熟化に伴い、患者様の意識に大きな変化が起こりつつある変革期です。医療形態は「おまかせ」医療から「自己決定」医療へ変化して、患者様が歯科医を選ぶ時代です。そんな時代に私は、患者様の御希望にできるだけ沿いながら、自分が受けたい治療を患者様に行っています。安らぎの歯科診療は、歯科恐怖症の私が安心して受診できる歯科治療です。

2007年10月27日
治療のとき願うこと

歯や歯肉は年が経つにつれて痛んでいきます。でも老化現象を抑えて若さを保ち、一生涯、自分の歯で食事ができ、笑えたらどんなに幸せかと思います。患者様の御口の崩壊現象にブレ-キをかけることが、歯科医師の使命と思います。

「抜かず、削らず、入れ歯にしない!!!」をモットーに診療していますが、初診の患者様の御口を拝見する時に、あまりに痛んだ状態に愕然とすることがあります。

患者様が少しでも安らぐように願いながら、自分にできる範囲で最善の治療を心がけますが、人間の力には限界があります。若年時の治療行為の誤りが、老年時の口腔崩壊を引き起こします。ですから、可能なかぎり歯を損なわないような治療方針で診療しています。

今日も診療しますが、私の治療が少しでも患者様の歯を保つために役だてばいいんですが・・・。

2007年10月26日
無痛麻酔法の発見

歯科恐怖症の患者様の治療で重要なことは、いかに痛くなく治療するかということです。

そのためには、麻酔注射の技術が重要です。私の無痛麻酔法の場合、通常いつ麻酔したのかわかりません。単に表面麻酔を使用するやり方とは異なります。この無痛麻酔法は大学院時代の動物実験中にヒントを得て発見してから、独自に修練したものです。

大学院1,2年生の時は、他の先生の研究を手伝いながら自分の研究にも追われて、ほとんど大学病院の臨床に携れませんでした。その私が、偶然口腔外科の医局にいた時に隣の医学部大学病院から緊急患者が搬送されてきました。その患者様は、明日、心臓手術の予定でしたが、親知らずが腫れたために抜歯してほしいとのことでした。通常、注射麻酔で痛みを感じますと、血圧が20~30上昇しますが、その血圧ですら患者様の生命が危険にさらされますので、痛みを感じさせないで治療するように要請されました。全く痛みを感じずに抜歯が終わった時に、患者様のご家族から非常に感謝されました。

歯医者になって初めて患者様から感謝された経験が嬉しくて、それ以来この無痛麻酔法を必ず行っています。

2007年10月24日
私の憧れる人物

後輩に憧れる人物について尋ねられたとき、「ヤヌシュ・コルチャック=コルチャック先生」と答えて怪訝な顔をされました。コルチャック先生の知名度が低いのは残念なことです。医者にして作家、教育者。彼の死に向かった姿に、私が医療者としての理想像を見出した方です。

その私が出会ったのが、春日行雄先生でした。モンゴルの雪害で難民化した親に捨てられた孤児(ストリート・チルドレン)を救うために、私財をなげうって孤児院(テムジンの友塾)を設立した医者です。

その春日先生は、シベリヤ抑留のとき医師として病人を庇って銃殺されそうになった経験があります。「医者として病人を庇って銃殺されたら本望だよ。」と、当たり前のように話される先生の、少しでもお役にたちたくてモンゴル医療奉仕団に参加しました。個人的な無償行為ですので、患者様から頂いたお金の一部を海外の恵まれない方のお役に立てさせていただいています。

2007年10月21日
患者様の心を大切にするために

患者様の心を大切にするために、カウンセリングを行うことは大切なことです。

私が学んだカウンセリング技術は、「ヘルスカウンセリング(宗像 恒次教授、筑波大学健康管理学)と「ロゴテラピー(V.E.フランクル教授、ウィーン大学神経学)」です。

日本の大学では、病気に焦点を当てる「問診」を教わったために、病人(病気を持った人間)に焦点を当てる「カウンセリング」がうまく行えず随分苦労しました。カウンセリングが心理分析に陥りがちになった私に、宗像先生が「行動科学」を学びことを勧めてくださいました。35歳までインプラントなど歯科臨床技術の研修のみに没頭していた私にとって、一大転機になりました。行動科学大会では1995年から2005年まで毎年学会で発表して、他領域の医療関係者の先生達に私の診療システムに関して批評していただきました。狭い歯科医学領域では独善的技術者になりがちで、己の能力を過信しがちですが、幸運にも他科の先生達と知り合えることを通して広い視野から歯科医療システムを検討できました。

ここに2005年度日本保健医療行動学学術大会・歯科医療部会での演題抄録を載せさせていただきます。

全人的対応と行動の5段階     

― 安らぎの歯科診療 ―

 

森嶋美夫 (森嶋歯科医院)  


 

.はじめに

1990年の医学会総会のテーマは、「転換期の医学・医療」でした。医療界では、20世紀の急激な産業化社会の中で効率化・機械化が最優先されたため数々のひずみが生じました。その是正のため総会では21世紀の新たな医療モデルが模索・検討されました。前会長の故中川米蔵先生は、「その目指すところは、人間性の回復である」と、医療の質的転換を提唱されました。

  それから5年間、実際に人間性の回復を目指した歯科科医療を試み、その要因を考察し実際に現場で応用できる仮説を構築しました。そして1995年から今年まで毎年今学会の場をお借りして事例研究の報告をすることにより仮説を検証・考察してきました。

 

.事例報告の経過

1995年  ・  1995年  ・保健医療者の「潜在意識の活用法」について

  1996年  ・The Comprehensive Medi-Care andthe Role of Master and Supper

                counselor

1997年  ・  1996年  ・医療とカウンセラー(医療のトータルコーディネーター)の役割

1998年  ・全人  1997年  ・全人的対応と行動の5段階

          1999年  ・燃えつきから自立へ

・       ・悲嘆との関わり・配偶者を亡くした事例(第1報)

  2000年  ・老年期においてSufferingを通して自己成長しつづける事例(第1報)

    2001年  ・  2001年  ・悲嘆との関わり・配偶者を亡くした事例(第2報)

  2002年  ・老年期においてSufferingを通して自己成長しつづける事例(第2報)

  2003年  ・医療者と患者間のコミュニケーションにおける成長・発展

2004年  ・  2004年  ・具体的治療方針の段階設定を転換する「まとめ」の検証

 

. 事例研究の結果=全人的対応を構成する要因

これまでの事例報告の検証結果、医療における人間性の回復をめざした全人的対応を行うためのシステムとして下記の6項目の仮説が得られました。

 

.前提条件=医療者における全人的対応を行う自覚の意識的育成

医療者の手技的・心理的・カウンセリング的技術の熟練は必須であるが、医療者が前提条件としてデス・エュケーションなどにより「医の心」を育む必要があります。医の心の成長が、チームとしての許容能力・先見性・自己コントロールを高めます。 

また、対話時の傾聴などは、日ごろから集中力・注意力を養成することが必要であることから、医療者には日々の自己研鑽の積み重ねが求められます。                    

 

.対話におけるロゴス(言葉)による慰め・希望の方向設定=行動目標(5段階)・心の成長

医療における患者さんに対する対応は、1999W.H.O総会で「健康とは、身体的、精神的、社会的かつ、霊的に完全な一つの幸福な状態を意味し、決して単なる病気や障害の不在を意味するものではない」との提案がなされたことを考慮し全人的であるべきです。また医療の場において、善意の誘導型コミュニケーションあるガイダンスをおこなう場合は、ある程度の行動目標を設定し方向を示す必要があります。

 

. 具体的治療方針の段階設定

  対処療法の積み重ねではなく、疼痛処置の終了後、メインテナンス導入までの治療計画の枠組みを設定する医療者・患者間の対話(まとめ)により、治療のステージ・アップを図ります。

 

.医療者の自己支援ネットワーク(手段的・情緒的)の強化

ストレスを引き起こす事態の発生は完全に避けられないため、常日頃から自分を支援してくれる社会関係網=ネットワークを意識的に充実・強化しておく必要があります。

 

.医療チームスタップ間のサポートの充実

全ての患者さんに医師が有効にガイドするのは不可能です。ケースによってはガイド役をスタッフが担当する必要があります。

 

6.患者さんの全人的背景の把握

社会的(経済力、家族歴、通院歴、職歴)肉体的(健康状態、全身的病歴、口腔環境と治療歴、)精神的(健康価値観、デンタル・トラウマの有無、)霊的(ターミナルケアの有無)などの情報は、意識的に集積しスタッフで共有すると有効です。

 

.安らぎの歯科診療

今回は、治療という考え方で動いてきた医療とは異なる、安らぎを目的にした全人的歯科医療における事例の検討・考察を行います。そして歯科疾患を治療するだけでは健康体を取り戻せない患者さんの癒しを目指す「医療空間」を構成する要因に関して報告します。

 

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