2008年1月12日
安らぎの歯科診療
ある患者様から、残念なことにガイダンスの場で「治療の押し付け」が行われている御話をお聞きしました。
抜歯した後の治療にインプラントの治療のみを強く勧められたそうです。インプラントは優れた治療法ですが、お勧めする場合は患者様の肉体的・経済的・心理的条件を考慮したうえで、ガイダンスの時患者様に心的圧迫を感じさせるべきではないと思います。
森嶋歯科医院では、安らぎの歯科診療として患者様と治療に関して相談している時、常に慰めや希望を見出す治療方向を設定するように心掛けています。
右の図は、「対話におけるロゴス(言葉)による慰め・希望の方向設定=行動目標(5段階)」と題して、昨年の行動科学会で一般的医療におけるコミュニケーションに関して講演した演題です。一般的なロゴス・セラピーを発展段階に応じて図式化しました。
歯科医院において、善意の誘導型コミュニケーションあるガイダンスをおこなう場合は、慰め・希望を見出す治療目標を特に設定し、患者様に示す必要があります。またガイダンスの時は、最善の治療目標であっても、患者様に強要する事のないように注意することが大切です。
森嶋歯科医院での治療目標は、保険診療を主体に患者様の要望があればインプラントや審美歯科などを加えて、口腔の健康を可能な限り回復・維持していくものです。
2008年1月 9日
骨隆起(下顎舌側)
インプラント希望の患者様がいらっしゃいましたが、下顎舌側部の骨隆起を何度切除しても再発するため、下の入れ歯が使いづらくインプラントも手術が怖くてお悩みでした。
私は骨隆起の原因は、過剰な咬合圧により骨が増殖することにあると考えています。噛み合せのバランスを回復してから骨隆起を除去しました。半年間骨隆起の再発はありません。
その患者様は、骨隆起の除去手術が以前に比べて早くて簡単で痛みもなく腫れも少なかったので、森嶋歯科医院でインプラントを行うことをお決めになりました。インプラントは、入れ歯に比較して残っている歯に圧力をかけない、違和感がないなどの長所がありますが、手術を伴うために躊躇する患者様もいらっしゃいます。
今回の骨隆起除去手術の成功が、治療に対する患者様の恐怖心を和らげました。多数の出来るだけ痛みの少ない治療の成功例が、患者様の歯科治療に対する心の傷を和らげることを見てきますと、無痛治療の重要性を再認識させられます。
2008年1月 1日
保存修復学
あけましておめでとうございます。
今年もいろいろ自分なりに書いて行こうと思います
歯科における保存修復学とは、歯学の一分野で、歯牙の硬組織において病的に生じた欠損に対して、機能回復を行う研究、分析、診断を行う学問です。歯牙の硬組織において病的に生じた欠損とは、初期の虫歯でできた穴のことです。つまり大学病院の保存修復科は、初期の虫歯でできた穴を埋める治療をする科のことです。ちなみに森嶋歯科医院では、出来る限り歯を削らない方針で治療しています。
ある患者様が、自分の歯を残したくて某大学病院の保存修復科を受診したところ、簡単に残せないと診断されて抜歯されてしまった話をなさいました。他の歯の抜歯も強く勧められたために怖くなり、森嶋歯科医院に転院されたそうです。
彼女は、保存修復科を初期の虫歯でできた穴を埋める治療をする科とは知らずに、歯を保存するために抜歯せずに修復する科と思って受診したそうです。私の診断では、彼女の抜歯されそうになった歯は十分に残して使用できる歯でした。
過去の治療行為は変えられませんが、患者様のために「抜かず・削らず・入れ歯にしない」治療目標を今年も堅持していくつもりです。
2007年12月29日
希望を与える診療計画
お口の状態が悪い患者様が来院された場合、森嶋歯科医院では「希望を与える診療計画」を設定することを心掛けています。その治療計画は、いかに患者様の歯を守るかということを中心に、治療回数、治療費など患者様と相談しながら決めています。
例えば、インプラントは歯を失った場合、患者様の残った歯にかかる噛み合せの過剰な圧力を支える有効な治療法です。しかし健康保険が適用されませんので高額な治療費がかかります。歯並びを治す矯正治療も同様です。どの治療を選ぶかについて時間を取って決めていき、患者様のお考えを尊重して無理に結論を出しません。無理をすることは、無理が出来ない患者様の希望を失わせることになるからです。
2007年12月25日
知覚過敏
私は知覚過敏の原因に噛み合せのアンバランスが深くかかわっていると考えています。知覚過敏の患者様の多くに噛み合せのアンバランスが認められるからです。ストレスが多い現代社会では、睡眠時のくいしばりから顎関節症が多発しています。そして、知覚過敏も多発していると推測しています。
噛み合せのアンバランスと知覚過敏の因果関係は、過剰な側方圧が歯牙にかかりますと歯頚部に亀裂が生じて知覚過敏になりやすいからだと思います。口蓋側の楔状欠損などは、その良い例だと思います。ですから森嶋歯科医院では、知覚過敏の治療に際して患部へのコーティングやブラッシング指導の対処療法だけではなく、咬合調整を併用して知覚過敏を治しています。
森嶋歯科医院では、噛み合せのアンバランスと知覚過敏の因果関係など、一見関係のないことにも注意して一つの症状を多角的に捉えながら診療に携っています。しかし油断しますと、過去の経験に束縛されて狭い視野の中に陥りがちです。ですので、時間をとってはインターネットを活用して、新しい概念にこまめに触れ心を触発するように心掛けています。