2008年5月 2日
オーバーバイト(過蓋咬合)
こんにちは、Dr.森嶋です。今回は、噛み合せの一形態であるオーバーバイトに関して書かせていただきます。
奥歯で噛みしめた状態で、上下の前歯の噛み合わせは、通常2~3mm程度の重なりがあるのが望ましいといわれています。オーバーバイト(過蓋咬合)とは、上下の噛み合わせの重なりの度合が大きい状態をいい、時に下の前歯がほとんど見えないほど深く噛み込んでいる場合もあります。
原因としましては、上あごや下あごの骨格が、もともと噛み合わせを深くしやすい形をしている場合があります。また、前歯が過剰に伸び出して噛み合わせが深くなったり、奥歯が抜けて噛み合わせの高さが低くなり、前歯の噛み合わせが深くなることもあります。奥歯の噛み合せのバランスが悪くて前歯で噛む習慣がある場合も考えられます。
治療は、額関節症の症状が出た場合のみ奥歯の噛み合せのバランスを回復しています。前歯の外観を患者様が治したい場合は、セラミック冠で審美的に外観を良くしています。ある患者様からお子様の過蓋咬合の矯正相談を受けましたが、成長発育期の治療の必要はないように考えています
2008年4月26日
白板症
おはようございます、Dr.森嶋です。
今回は、白板症に関して書かせていただきます。
口腔白板症(はくばんしょう)とは、1978年WHOの診断基準によれば、口腔粘膜に生じた摩擦によって除去できない白色の板状(ばんじょう)あるいは斑状の角化性病変で臨床的あるいは病理組織学的に他のいかなる疾患にも分類されないような白斑と定義されています。
口腔白板症は前癌病変であると考えられ、その癌化率は4.4~17.5%と報告されています。特に舌側緑(舌の横)、舌下面、口腔底(こうくうてい)(舌の下と下の前歯の間)に発生した白板症で、疣状(いぼじょう)や腫瘤状の病変や潰瘍、びらん(ただれ)が存在するときには口腔扁平上皮癌(こうくうへんぺいじょうひがん)に進展する確率が高く、すでに癌を発生している場合があります。臨床的な病型に分類がなされ、たとえばWHOは均一型(homogenous type)と不均一型(non-homogenous type)に分けています。
口の中の白色の粘膜が癌ではないかと心配された患者様が来院されました。口腔白板症は、肉眼での癌の発生の有無の識別が困難ですので、組織検査をお勧めして出身校の口腔外科を紹介させていただきました。患者様の躊躇する気持ちはわかりますが、癌かどうか心配するよりも、診断をすることが先決です。癌でしたら早期に除去する必要がありますし、癌でなければ患者様が安心できます。
当院では、カウンセリング時に患者様の不安を煽る発言は致しません。何が最善かを患者様の気持ちに沿って相談しながら、必要があればアドバイスしています。
2008年4月19日
ナポレオン・ヒル」成功哲学の危険性
こんにちは、Dr.森嶋です。
今回は、『「ナポレオン・ヒル」成功哲学の危険性』に関して書かせていただきます。
最初に誤解のないように書きますが、『「ナポレオン・ヒル」成功哲学』やカーネギーの「人を動かす」などの著書は、すばらしいものです。しかし、これを全ての人が実践できるものではありません。なぜなら、これらを実践して成功する【行動変容(人の生き方が変わる)】ためには、多大な精神エネルギーを必要とすることに行動科学を学んで気付いたからです。
積極的思考を持続することは、多大な精神エネルギーを必要としています。精神エネルギーの供給なしに、単なるシステムだけで自己改革をして周囲に影響を与えられません。また、精神エネルギーは簡単に手に入れられません。(簡単に手に入れる方法はありますが、気付かないだけです。)ですから目標を設定して持続的に達成することは、非常に困難なことです。精神エネルギーが枯渇しますと「燃え尽き症候群」になりかねません。
『「ナポレオン・ヒル」成功哲学』を可能にする方法は、一般的に行われているような積極的思考を強制的に行なうことではありません。強制的に行っても持続せずに挫折感を味わうだけです。まずは精神エネルギーを得ることです。本当に好きな夢を実現するためには、いくらでも精神エネルギーは湧いてきます。そしてその夢を実現するために『「ナポレオン・ヒル」成功哲学』を応用することです。
私も自分の好きな歯科診療(夢)を実現するために、『「ナポレオン・ヒル」成功哲学』を参考にしました。一般的に行われているような積極的思考を強制的に行なうことは危険ですので、現実可能な目標を一歩一歩確実に達成してきました。途中で困難な時は、無理をせずに機会を待ちました。精神エネルギーが湧いてくる限り、夢は実現可能です。皆様も実行してみてください。
2008年4月15日
開口器
おはようございます、Dr.森嶋です。
人の心は、初めて体験した現象を過去の経験からいろいろ分析して理解しようとします。同じ体験でも理解の仕方とその後の行動様式が、それぞれの人の生き方を全く違う方向に向かわせます。
さて、開口障害を初めて経験した結果、いろいろ考えたとき「開口器」を思い出しました。25年前の記憶です。
開口器に関しましては、大学病院の口腔外科時代に苦い体験があり、その苦い体験が今の噛み合せの技術に生かされています。
開口器とは、顎関節硬直症などの開口障害がある場合に強制的に口を開ける器具のことです。これを使用するためには、顎関節内に麻酔をする必要があります。大学病院の口腔外科入局当初に開口器を使用する機会がありましたが、未熟なために顎関節内麻酔が不十分でした。そのため開口器で硬直した顎関節を無理にこじ開ける時に、患者様に大変な苦痛を与えてしまいました。この患者様は、何度も口が開かなくなり、その度に開口器で痛い思いをして口をあけているそうです。治らないものかと聞かれても、どうすることもできませんでした。
その体験は、若かった私にとって精神的に非常な苦痛でした。この苦い経験が顎関節硬直症にいたらない前に、何とか顎関節症を治せないものかと研究するきっかけになりました。そして今の噛み合せの技術にいたりました。マイナス体験を教訓として未来にプラスに活かせたことは幸いでした。
今は、意識的に日々の経験をプラス思考で活かしています。最初は非常なエネルギーを必要としましたが、今は習慣化してエネルギーを必要としません。
最後に、この文章を読んで下さった方にアドバイスします。「宗像恒次」先生の本はお勧めです。「ナポレオン・ヒル」関係の成功哲学は危険です。機会がありましたらそのことに関して書くつもりです。
2008年4月10日
智歯(親知らず)周囲炎
こんにちは、Dr.森嶋です。
今回は、前回書かせていただきました開口障害を引き起こした智歯(親知らず)周囲炎に関して書かせていただきます。
私は、神経麻痺の可能性がある下顎智歯(親知らず)の抜歯は極力いたしません。しかし腫れて痛んだ場合は、抜くことがあります。
25年前、左側の親知らずは神経麻痺の可能性が低いので抜歯しました。右側は、完全に埋もれていて感染して腫れる可能性が考えられませんでした。そして神経麻痺の可能性が高いため、現・日大口腔外科・大木秀郎教授と協議して抜歯を延期しました。
感染の可能性が考えられない親知らずが、感染して化膿した原因を考えてみますと、加齢現象による私自身の抵抗力の減退のほかに、花粉症の薬の副作用があるように思われます。アレルギー反応を抑制するほかに免疫力も抑制しているように感じます。免疫力の抑制は、癌や心内膜炎などの発症率を高める危険性があります。
金属アレルギー対策のために、口腔内の重金属は除去できます。でも、花粉は止められませんから、花粉症のために年2か月あまりも薬を長期服用しなければなりません。今のところ花粉症の薬害対策は、幸いにも室内でマスクと眼鏡を付ける仕事に従事していますので、なるべく薬の量を減らすしかありません。この現象が一生涯続いたための健康に対する危険性を思うと、専門外のために対策の立てようがないのが残念です。