【院長ブログ】白板症
口腔白板症(はくばんしょう)とは、1978年WHOの診断基準によれば、口腔粘膜に生じた摩擦によって除去できない白色の板状(ばんじょう)あるいは斑状の角化性病変で臨床的あるいは病理組織学的に他のいかなる疾患にも分類されないような白斑と定義されています。
口腔白板症は前癌病変であると考えられ、その癌化率は4.4~17.5%と報告されています。特に舌側緑(舌の横)、舌下面、口腔底(こうくうてい)(舌の下と下の前歯の間)に発生した白板症で、疣状(いぼじょう)や腫瘤状の病変や潰瘍、びらん(ただれ)が存在するときには口腔扁平上皮癌(こうくうへんぺいじょうひがん)に進展する確率が高く、すでに癌を発生している場合があります。臨床的な病型に分類がなされ、たとえばWHOは均一型(homogenous type)と不均一型(non-homogenous type)に分けています。
口の中の白色の粘膜が癌ではないかと心配された患者様が来院されました。口腔白板症は、肉眼での癌の発生の有無の識別が困難ですので、組織検査をお勧めして出身校の口腔外科を紹介させていただきました。患者様の躊躇する気持ちはわかりますが、癌かどうか心配するよりも、診断をすることが先決です。癌でしたら早期に除去する必要がありますし、癌でなければ患者様が安心できます。
当院では、カウンセリング時に患者様の不安を煽る発言は致しません。何が最善かを患者様の気持ちに沿って相談しながら、必要があればアドバイスしています。